『GOOD』-善き人-

今年は観た舞台についてなんらかの記録を書き残そうと思い、久々にブログを開いた(ら、残っていたブログ記事で寝たきりに♩)

 

という訳で、『GOOD』-善き人- を観ました。https://good2024.com

 

今回の公演期間前、NTLで善き人を上映する(2024年1月〜)とのことだったので予習してから観劇しました。

映画と舞台を比較した全体感としては、舞台は抽象表現が少なく、聞き馴染みのあるクラシックやジャズが生演奏で流れており、ハルダー(佐藤隆太)やモーリス(萩原聖人)の熱のこもる演技も直に伝わってくるので映画よりも内容を理解しやすい気がしています。

対してNTLも多様な登場人物をたった3人で演じている面白さもあるので、比較してみたい方は観劇前後に映画を観てもいいかもしれません。

4/5~4/11まで札幌で上映*1、4/19~20に日本橋&大阪でアンコール上映*2があるようです。

札幌•東京•大阪に住んでる北川担はぜひ行ってみてくださいദ്ദിᐢ- ̫-ᐢ₎👈フォロワーに北川担ほぼゼロだから届かんよ。

 

観劇して、特に印象的だったことはふたつ。

ひとつめは、はじめは一個人のちいさな思想が社会全体ないしは国全体の共通認識になっていく恐ろしさ。舞台上の言葉のニュアンスだと「個人的見解が客観的主観になる」みたいな話をしていたのだが、偏った思想がスタンダードになっていくことが怖かった。

ふたつめは、親友のモーリスを含めたユダヤ人が迫害されていくなかでのハルダーの心境。「怖いことは沢山ある。愛する妻が離れていかないか、それ以外も全部怖いけど、それに比べてユダヤ人が死んでいくのはもっともっとちっぽけな怖さだ」と言い放った場面。自分に影響がある問題かどうか、で簡単に変容する思考や行動の怖さを感じました。

この観劇で感じた怖さは、今日を生きる自分自身も持ちうるものだということ自体が一番怖く、今日の観劇体験を受け止めるまではまだ時間がかかりそうです。

 

ショッキングなことに関してはひとつだけここに書き残そうと思います。

対象となる人への安楽死をどのように遂行するかのアイデアとして、移送された対象者を不安にさせないよう日常にあるようなバスルームを作ろうという話題が出ます。後のアウシュヴィッツでの大量虐殺でガス室に入る前にシャワーを浴びるのだと説明したものと同じだと気付いて、背筋が凍りました。ちょうど『関心領域』*3を観てすぐのことだったので、正解なのに認めたくなくて、気持ちの悪い答え合わせをしてしまった気分でした。

終盤、ハルダーはアウシュヴィッツに向かいます。アウシュヴィッツやヘスのことが少しだけ出てくるので、興味のある方は『関心領域』も観てみてください。👈映画ステママシーン禁止


最後に、折角すまいるあっぷじゅにあ♡を観たので北川拓実さんについて。

ナチに狂信的なボックという役を演じるのですが、火の顔のクルトに少しだけ重ねてしまいました。最高潮の興奮状態ではないけれど、興奮に酔いしれている人間の演技がほんとうに上手だなとおもいました。

 

interestingな舞台をしてくれるすまいるあっぷじゅにあ♡のお陰で春の芸術鑑賞会を勝手に継続できているので、この先も色んな作品を観たい&記録したいです。

 

おしまい。